我が家では給湯設備にエネファームを導入しています。
積水ハウスではZEH住宅普及に力を入れていて、太陽光発電+エネファームのダブル発電をおすすめされることが多いかと想います。
これ長期的に見て得なのか?損なのか?その視点だけで見ると普通にエネファームを導入して発電で元が取れることはどう考えてもないというのが7年間、使ってみての結論です。ただし補助金やサービスなどが受けられることがあるので、そういった点を総合的に考えて判断すると良いかと想います。
この記事は一度2021年に公開し、追記で2023年7月に修正したり追記したりしています。
この記事はエネファームを検討されている方に少しでも参考にしていただければとの思いで積水ハウスで新築してから7年間エネファームを使ってみて気づいたこと後悔して点、良かった点などを思い出しながら作成しております。
我が家で導入したエネファームの本体価格
150万円程度でした。
なぜエネファームを入れたか?
営業にすすめられたのと積水ハウスでエネファームを導入する時にお得な特典がいくつもついていたのが最大の理由です。
環境に貢献したい等とは思っていませんでしたし、よくわからないまま決めてしまったという感じです。
FCA (一般社団法人 燃料電池普及促進協会)からの補助金30万円
国が行っている燃料電池普及促進の事業らしいですがここから補助金がもらえます。この補助を受けるときには条件があり、3年間半年に1度のアンケートへの回答が義務付けられていました。毎月の電気代やガス代、水道代などの数値を記録して記入し提出します。もうすでにアンケート期間は終わったのでほっとしていますが、忘れそうになって慌てて送ったり、検針票がどこかに行っちゃって探すのに苦労したり結構面倒でしたが、このアンケートに答えるのも条件なので必ず行わなければいけませんでした。FCAは東京ガスやパナソニック、東芝、アイシン、エネオス等のエネファーム等の家庭用燃料電池普及をすすめる事業者の担当者が役員になっています。ちなみにハウスメーカーでは積水ハウスと大和ハウスが賛助会員となっているのでこの2社はよくエネファームを勧めて来ます。
積水ハウスからの補助40万円(値引き)
実質、値引きです。エネファーム本体価格が150万円ほどしましたので、国の事業からの補助金と合わせて実質80万円ほどで導入でき60万円相当の床暖房まで無料で付いてきたことになります。(と最初は思っていたのだけど実はそうではなかったのです。詳しくは下に書きましたので読んで頂けると嬉しいです。)
ガス会社から床暖房の新規設置無料のサービスと床暖房を使用する冬季のガス料金を数%割引
床暖房を使用する12月から2月分のガス代数%分割引されます。
正直、これ誤差の範囲です。冬季はエネファームのほうのガス代が跳ね上がりますので高額となります。
あとガス会社からのサービスということでリビング・ダイニング・キッチン部分の床暖房工事60万円相当が無料になりました。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)の補助金
これは年度によって大きく異なりますが2021年は60万円だそうです。
我が家が新築した時は130万円程度だったと記憶しています。
年々、補助金の額も減ってきましたね。
ZEH仕様にするにはエネファームを入れた入れないというより、断熱性能、換気システムの種類、太陽光発電の設置など細かい条件があるのでエネファームを入れればZEH補助金がもらえるというわけではありません。
関連記事:エネファームのガス代は冬場高い!ガス代を安くするには?
我が家で感じたエネファームのデメリット
改めて感じているエネファームのデメリットを書いてみますが、我が家の場合という条件付きなので皆さんには当てはまらない事が多いかと想います。
導入コスト(本体価格)が非常に高い
我が家では運良く補助金を活用し導入できましたが、故障やメンテナンスの心配なく使える期間が10年、最大でも20年しか使えない設備が150万円もするというのは最初は驚きました。
10年分の点検料を前払いで請求された
うちのガス会社だけの可能性もありますが35万円程度のエネファームの点検料を前払いで請求されました。しかも、これがすべてが決まって後から追加で出てきました。
インターネット上でも導入の際に一括でエネファームの保守点検料10年分を請求されたという話は見たことがないので少し残念でしたが床暖房サービスしてもらったので文句は言えないのかもしれまえん。まあ、今冷静になって考えたらどう考えてもおかしな話なので、エネファームは導入してませんね。もう5年以上経過していますが大したメンテナンスはしてないです。
毎月のガス代がかなり増えてしまった(特に冬は高額)
以前、住んでいた築50年の古い住宅では、プロパンガスだったのですが、月のガス代が1万円を越えたことは冬季以外はなかったように想います。ガスはお風呂とキッチン、給湯で使用していましたが平均して5000円から7000円程度ですんでいました。
新築してエネファームを導入することが決定し都市ガスを導入したのでそんなに増えないだろうと思っていたら見事にはねあがりました。
エネファームを導入してから冬場は床暖房を全く使わなくともガス代12000円程度、床暖房を毎日使うと2万円程度までいきます。正直、ここまで上がるとは思っていませんでした。
うちは、キッチンはIHなので、ガスは給湯とお風呂にしか使ってないのでもっと安くてもいいのかなと思います。
~
この記事公開時から、2年以上が経過しましたが、ウクライナの件もあって特に今年の冬場はガス代も値上がりしましたね。そんな影響で床暖房をつけながらお風呂にも使うなどの通常の使い方をすると、ガス代のみで3万円以上になることがわかりました。
エネファーム発電をわざと止めた実験結果
2023年、3ヶ月ほどエネファームの発電機能を止めてきました。
エネファームの発電機能を起動させずにお湯を使う場合はエネファームに付属のバックアップ給湯器(エコジョーズ)で沸かした時と普通通りにエネファームを起動させて発電を行いながらお湯を作る場合のガス使用量の比較についてです。
エネファームの発電をしているとおおよそ1日あたり1.5倍から2倍程度のガスを消費しています。
ガス代単価が低かった数年前ならばまだしも、現在では光熱費で元が取れることはなく逆にエネファームを使えば使うほど光熱費はどんどん増えるケースが多いのではないかと強く思います。
すべてはガス代と電気代の単価のバランスによります。
ガス単価が高い時期に関してはエネファームの発電機能はオフでも良いかもしれませんね。
起動するまでの時間と電気代がかなりかかる
エネファームは発電開始までの起動に時間がかかります。HEMSのモニターを見ていると、起動するのに結構電気食ってるなあと思います。リビングの20畳用エアコン入れて落ち着いてきた頃の電力分くらい消費しています。自動モードにしていますが、起動から発電開始になるまで30分から40分程度はかかっています。これ結構もったいないですね。発電するために結構な量の電気を消費するなんて・・・
エネファームは不具合、故障が結構多い
いきなりエラーが表示されて発電が停止したことが覚えている範囲で2回はありました。その他エネファームのエラー表示がでてガス会社さんに連絡したのが2,3回。平均して毎年1回程度は不具合が起きていることになります。
エネファームは機械的な不具合の場合、自分では当然無理ですし、ガス会社さんでも直せないんです。(ちょっとしたエラーの場合は再起動で直ることもあります。)
エネファームが壊れたらガス会社経由でその都度、メーカーに連絡してもらい遠方からエネファーム修理担当の方に来て頂くことになります。今はうちのエネファームのメーカーの場合は外注を使っているようで沖電気なんとかシステムのような会社が来ています。
発電ユニットの不具合が起きて、真冬の雪が降る日に寒い中夜まで作業して頂いたこともあります。
また発電ユニットとは別に貯湯ユニットに不具合がでることもあります。その場合は、これまた別のメーカーの担当者(外注業者さん)の方が来て作業ということになります。しかも、うちの場合は貯湯ユニットが大きな故障をしまして1回では治らず、合計5回ほど来て頂きようやく直ったということがありました。
うちのガス会社の対応が良くない
うちが契約している都市ガスの会社は、非常に良い方が全体的に多く親切な印象なのですが担当者の中には散々放置されるなど対応があまり良くない人も・・・
点検マークが付きすぐに電話したのですがずっと放置され催促の電話をしても、発電停止するまでには行きますから安心して下さいと言われました。
しかし結局、期限までに来ていただけずエネファームの発電が停止してしまいました。
それから日程調節もあってようやく点検にきてもらい更には別の不具合も見つかり結局2ヶ月もの間、発電停止していました。この頃にはエネファームを入れたことに少し後悔を感じました。
エネファーム発電分は売電できない
エネファームは家庭内の一刻と変わる電気使用量に合わせて発電量を細かく調整しています。
エネファームで発電した分は自家消費する仕組みとなっており売電はできません。
追記:我が家が新築したころにいれたエネファームはエネファームで作った電気は売電できない仕様でしたが2023現在は売電ができるようになったガス会社が多いようですね。
売電価格が下る
これに関しても2023年現在は修正されていますが、我が家が新築した当時は売電単価が6円も下がる仕組みになっていました。我が家の新築時は太陽光発電のみ33円、ダブル発電27円。
現在(2023年)は太陽光発電のみ16円、ダブル発電16円と全くの同じ金額となっています。
まあ、当時なんで売電価格が下がるの?と大きな違和感を感じたのを覚えています。
エネファームのメリット
といいつつも、エネファームには良い面もあります。
電気代が安くなり売電量が増える
これは、本当に実感しています。太陽光発電と合わせてですがエアコンを使わない季節では3000円代から4000円代程度しか毎月の電気代がかかっていません。夏場や冬場にエアコンを一日中かけまくっていても5000円代に収まることが多いです。8月だけは7000円~8000円かかりました。
夏場はガス代が大きく下がります。3000円から4000円程度です。加えて温かい季節で晴れが多い月には1万円以上の売電収入があります。(ちなみに売電収入の最高は約14000円。最低は約6000円)夏場はガス代、電気代合わせてプラスマイナスゼロ程度、運が良いとプラスになる月もあります。
お湯切れがない
エコキュートと比較すると確かにこれは便利ですね。タンク内の温度が高いうちは、あたらにガスを使うことなく給湯しますが、タンク内温度が下がると、バックアップ熱源機を作動して瞬時にお湯を沸かしてくれます。お湯切れの心配はありません。
もう何年も前ですが、親の実家がエコキュートを使っていて親戚中で集まってみんなで泊まった時があるのですが、お風呂にかわりばんこに入っていたら途中でお湯がでなくなったと大騒ぎしてでいました。
そういった心配がエネファームにはありません。これはエネファームだけでなく他の給湯器でも同様です。
買い換えるとしたらエネファームは絶対導入しません
我が家もあと何年かするとエネファームも使えなくなるでしょう。修理にさらなる負担がかからないのは導入から10年まで。それ以降は点検・メンテナンス費用が別にかかります。最大使えても20年までには給湯器を買い換えなければなりません。エネファームは10年後どうするのがベストなのかあと5年ほどありますので少しづつ考えていこうと思います。
2ヶ月間エネファームの発電停止しても光熱費はさほど変わらず
2ヶ月間エネファームの発電停止の件ですがそんな長期間、発電停止しているのだから光熱費が激増してもおかしくはないのですが売電分の減少も含めた光熱費は対して増えていませんでした。
あくまでコスパを考えたときにはここに答えがあるのだと思います。
補助金やサービスなどがある場合は検討の余地はありますが、コストだけを考えた場合、無駄が多い設備なのではないかと思うわけです。特に自分のような一般人にとっては。
追記:2023年現在ではガス単価の上昇などによって逆に発電停止で光熱費が安くなるケースもあります。
エネファームの裁判もありました
そういえば、エネファームはお得と言われて契約したのに全然得じゃないじゃないか!逆にコスト増えてね?という裁判が2014年にありました。
冬に光熱費が著しく増加することや、バックアップ給湯器で床暖房の温水を賄っていることが分かっていたら、200万円以上も掛けて設置しなかった。
出展:日経新聞
上記は、ガス会社が訴えられてしまった裁判についての記事が残っていました。結果はどうなったか知りませんが、エネファームで光熱費がめちゃくちゃ安くなるなど過剰な期待はしないほうが無難です。
バックアップ給湯器で床暖房の温水を作ってるのを知った時は愕然としましたが、我が家は導入前にこの記事を読み営業担当者さんからも念を押されていたので勘違いして導入してしまうことはありませんでした。
エネファームは大家族ならば元が取れるのか?
家族の人数が多ければエネファームで元が取れるという意見もたまに見ますが、エネファームにはあらかじめ通算発電時間が決められています。
使えば使いまくるほど通算発電時間はどんどん伸びて発電機能自体が失われまでの時間が早まります。
それまで考えるとどう考えても元が取れることはないと思っておいたほうが良いかと思います。
エネファームを導入を検討の方へアドバイス
コスパだけでなく太陽光、蓄電池との組み合わせで災害対策をするだとか、地球環境への貢献など色々な面から考えて導入されるのでしたらありだとは思います。
太陽光とエネファームを入れただけではなんの災害対策、停電対策にならないのは理解する必要があります。
以上、積水ハウスでエネファームを導入して感じた感想を述べましたが、これから積水ハウスでエネファームを検討している方にアドバイスしたいのは、エネファーム以外の給湯器もぜひ検討していただきたいと感じています。
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